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相続した不動産の売却と税金対策

不動産売却

矢野

筆者 矢野

不動産キャリア4年

経歴:金融機関出身で17年の勤務で住宅ローン相談実績1500件以上、多重債務救済対応、延滞債権の管理回収対応も担当し、個人融資の入口から出口までの業務すべてを経験。不動産業界に転職後、売買仲介を経験後、中古物件の買取再販や建売住宅の企画販売などを担当。現在は不動産会社としては2社目で売買仲介をメインに担当。

相続した不動産の売却と税金対策

相続した不動産の売却と税金対策


相続した不動産の売却と税金対策

日本では、少子高齢化に伴って相続件数が増加し、不動産の相続も年々増えています。親が住んでいた家を相続したものの、住む予定がなく売却を検討するケースも多く見られます。その際、気をつけなければならないのが「税金」と「制度の活用」です。

本記事では、相続した不動産を売却する際に発生する税金と、税負担を軽減する具体的な特例制度について、特に「相続空き家の3,000万円特別控除」を耐震基準別に分けて詳しく解説します。

1. 不動産相続の基本手続き

不動産相続の流れ

  • 遺産分割協議書の作成(相続人が複数の場合)
  • 法務局で相続登記を行う
  • 必要に応じて測量・境界確定
  • 不動産会社に依頼して売却活動開始

2. 売却時にかかる税金

譲渡所得 = 売却額 −(取得費 + 譲渡費用)

  • 取得費:原則は被相続人が購入した価格。不明な場合は概算(売却額の5%)
  • 譲渡費用:仲介手数料、測量費用、解体費用など

所有期間による税率

  • 短期(5年以下):39.63%
  • 長期(5年超):20.315%

3. 税負担を減らすための特例

特例1:相続空き家の3,000万円特別控除

一定の条件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。

ポイント:建物の耐震基準(旧耐震 or 新耐震)によって必要な対応が異なります。

旧耐震基準の建物(昭和56年5月31日以前)

  • 建物を解体して更地で売却、または
  • 耐震リフォームを実施し、新耐震基準に適合させる
  • 証明書(解体証明または耐震適合証明)の提出が必要

新耐震基準の建物(昭和56年6月1日以降)

  • 建物付きのまま売却可能
  • 建築確認済証や検査済証などの書類で証明が必要

適用の共通条件

  • 被相続人が一人で居住していた住宅
  • 相続開始から3年以内に売却
  • 売却価格1億円以下
  • 相続人や他者が居住・賃貸・事業利用していない

耐震基準の違いまとめ表

比較項目 旧耐震 新耐震
建物付き売却 不可(解体または改修) 可能(証明書提出)
必要な対応 解体 or 耐震改修 建築確認書などの証明
費用負担 数十万円〜 低コスト
制度の使いやすさ やや高いハードル 比較的容易

特例2:取得費加算の特例

相続税を支払っていれば、相続から3年10ヶ月以内の売却で取得費に加算できます。

その他の節税テクニック

  • 土地を分筆し複数年に分けて売却
  • 共有名義の活用
  • 譲渡損失の繰越控除や損益通算

4. 売却以外の選択肢

  • 賃貸運用
  • 自己利用
  • 保有しつつ市場を見て判断

5. 専門家との連携

  • 税理士(税務申告・特例判断)
  • 司法書士(登記)
  • 不動産会社(売却戦略)
  • 建築士(耐震証明)

まとめ

相続した不動産の売却では、制度を活用することで大きな節税効果が得られます。特に「3,000万円控除」は非常に有効ですが、耐震基準によって条件が変わるため、事前の確認と準備が大切です。

正しい知識と専門家の力を活用して、損をしない売却を実現しましょう。

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